思いがけず野良猫を見つけたとき、放っておけないあなたならどうしますか?
まだ小さい猫、がりがりにやせていたり雨にぬれていたり…。このコラムの読んでくださっている猫好きなあなたなら気にかかってしまうはず。なんとかして助けてあげたいけど何からすればいいかわからない…そんな方も多いと思います。
一見自由奔放に見える野良猫には、実は危険がいっぱい。雨や気温などの環境はもちろん、発情、繁殖、感染病、車にひかれてしまったり…
今回は野良猫を見かけ、その猫ちゃんを助けたいと思ったときにあなたができることをご紹介いたします。
一緒に暮らせなくてもあなたができること
野良猫を助けてあげたいけれど、保護した後はどうしよう…。動物愛護センター(or保健所)に電話をすれば一部の団体では捕獲してくれるかもしれません。でも場合によっては、殺処分されてしまう可能性が高いのです。人になつかない猫、基礎疾患がある、里親が期限内に現れない…今日も様々な理由で多くの猫が命を落としています。
ではどうするか。ここで野良猫を見かけたご縁です。猫を助けるために行動に起こしてみませんか?
具体的な行動をご紹介する前に、日本の野良猫事情をご説明します。
日本の野良猫事情
2016年度に自治体によって引き取られた猫の数(飼い主らに持ち込まれる、もしくは捕獲された頭数)は72,624匹です。その中で殺処分になったのは45,574匹。このうち離乳していない子猫が29,654匹でした(環境省『犬・猫の引取り及び負傷動物の収容状況』)。
つまり愛護センターに収容された猫たちで新しい里親さんに譲渡されていくのは、まだ半分にも満たなくて、残りの63%もの猫ちゃんは殺処分され、その殺処分される猫のうち65%はまだ赤ちゃん猫ということになります。幼い猫は人間の赤ちゃんと一緒で、ミルクや排せつなどを数時間おきにお世話する人が必要です。保健所や行政にはそこまで対応できるシステムがないところも多く、人間の都合で1日平均125匹の命が絶たれているのです。
まずはその猫の状況を確認する
猫の保護に関わらず、問題解決には情報収集、周りの人の力を借りることが基本となります。もし近くに猫を飼った経験がある人や猫の保護に詳しい人がいたらぜひ頼りましょう。近くの保護団体にアドバイスを聞いてもいいかもしれません。あなたが今から行おうとすることは地域のためにもなることなのできっと協力しようとしてくれる方がきっと出てきます。
では具体的にそんな情報を収集すべきか。一つずつリストアップして解説していきます。
猫を見つけたときに必要な周辺の情報収集
その子は本当に野良猫か?
まずはあなたが見つけた猫ちゃんは本当に保護が必要かを見分ける必要があります。もちろん、首輪をしていたら飼い猫かもしれません。もしくはどちらかの耳にカットがある場合は地域で管理している「地域猫」の可能性もあります。
まずは保健所や主変のボランティア団体HPに迷い猫情報が掲載されていますので参照してみましょう。もし特徴が似ている場合はぜひ情報提供をしてあげてください!なお警察にも問い合わせは可能ですが警察に相談すべきケースは下記で取り上げます。
地域猫である印「さくら耳」に関する詳細は下記のコラムに記載していますので是非ご覧ください。

(小さい猫であれば)親猫はいないか
小さすぎる猫は親が近くにいるかもしれないので、簡単には手を出さないことも大事です。人間の匂いがつくと親猫がお世話をしなくなる可能性もあるのです。子猫にとっては命にかかわることですのでまずは離れて観察してみましょう。
餌やりさんはいないか
そしてエサやりをしている人がいるのか、なついている人がいれば場合によっては捕獲の際に有利に働くかもしれません。もし見つけたらその猫が何時にどこら辺に現れるのか、いつからいるのか、他に猫はいないのか…様々な情報をもらえるかもしれません。反対にその周辺地域に住み着いた猫たちの糞や尿で困っている人がいるのか、猫の様子を見ながら探ってみるといいでしょう。
近くの動物病院に頼ってみる
動物スキが集う場所といえば地域の動物病院です。迷子のチラシを張っている場合もあったり、捕獲が必要になった際のアドバイスや捕獲機の貸し出し、場合によっては治療までサポートしてくれるかもしれません。周辺の動物病院にも相談してみましょう(病院によっては感染症対策のために野良猫の治療を断っている病院もありますので要確認です。)
保護が必要だと判断したら
上記の確認事項を終えて野良猫であり保護が必要との結論が出たら踏むべきステップを紹介します。
周辺の保護団体に相談
団体によっては捕獲依頼や捕獲機の貸し出しやアドバイス、保護後に受け入れてくれる場合がありますのでHPをみてみましょう。TNR団体ですと野良猫に不妊治療を施し、もとの場所にリリースし「地域猫」として地域で管理していくことができます。(こちらも先ほどの「さくら耳」のコラムで特集しています)
なお繁殖期である春から秋はどこの保護団体も猫でいっぱいになっている場合があります。ボランティアさんは無償で自分の時間を割いて活動してくれていいる人たちで、野良猫とも一番密接な関係にあります。もし捕獲対応をしてくれなくてもそのことを念頭において連絡してみましょう。
最寄りの警察に連絡
警察に連絡したら保健所に連れていかれちゃうんじゃないの?と思う方もいらっしゃると思います。ですが一度警察に「迷子猫として届け出が出ていないか」を確認しましょう。もし届け出が出ていない場合でも保護した後に飼い主さんが現れ獲るかもしれません。
一般的に警察署では「迷い犬」「捨て猫」は、「忘れ物」「落とし物」と同様に「遺失物」として取扱います。この場合、遺失物法により、すみやかにその落とし物をした人(飼い主)に返すか、警察署、交番等に提出しなければならないと決まっています。拾われた物の所有権が判明するまでの保管期間が三ヶ月となりますので、保護後に猫ちゃんを飼育する場所などの届け出が必要なのです。
捕獲後に保護してくれる人や場所の確保
保護後は里親さんにつなぐまでは保護した猫を保護する場所が必要にあります。離乳していない子猫であればなるべく猫の飼育経験がある人を頼るのも手ですし、人間の赤ちゃんと同じで夜通しのお世話が必要だったりするため仕事をしている方はお世話できる時間も考えなければなりません。ある程度大きい猫であればそこまでの世話が必要ではありませんが中には人なれしていない猫が大半であったり、保護する側も同居している家族に猫アレルギー持ちはいないか、先住のペットはいないかなど様々な生活要因を確認すべきです。
保護できる場所を確保してから実際に保護に移りましょう。
責任を持った覚悟が必要
きっと野良猫を保護する決断をしたあなたは動物に対しての愛情が深い人でしょう。しかし、実際に保護してみると「思ったより大変だ」と思うこともあるはず。保護の手間はもちろん、動物病院での治療やえさ代など金銭的な負担も発生します。
そこで大事なのは、野良猫を保護すると考えた時には、「必ず最後まで責任を持てるかどうか」を大切にしてください。
野良猫時代に何回か見かけて可愛らしい様子を見ると、保護して一緒に暮らしたくなります。保護するということもとてもいいことだと思います。
ただ、今までの違った環境に保護するということなので、なかなか上手くいかないことも多いです。途中で手放すなんてことがあったら、その猫はまた「捨て猫」となってしまいます。
自宅で飼い猫として迎え入れるということは、最後まで責任を持つという確かな覚悟が必要なのです。
次回のコラムでは実際に保護した時にすべきことをご紹介予定です。お楽しみに