猫と暮らしたいと思った時に、あなたはどこから迎えますか?
コロナ禍でのリモートワークなどの住環境やライフスタイルの変化により、庭がなくても室内で飼える・お散歩が必要ないなどの理由で猫を飼う方が増えているのをご存じでしょうか?
なんと2021年度の全国犬猫飼育実態調査 では犬が710万6千頭、猫が894万6千頭と猫のほうが多く飼われていることがわかりました。
2020年以降コロナ禍により外出が厳しくなったここ1、2年はペット需要が急増した反面、さらにその野良猫問題に拍車がかかっている傾向にあり、毎日犬や猫が殺処分されている現状があります。
このような現状を知り、ペットを家族として迎える選択肢の一つとして「保護猫」「保護犬」を加えることにより殺処分数を減らし不幸な殺されてしまう命を減らすことができるのではないでしょうか?
今回は「保護猫」に焦点を当てて家族として迎えるまでの流れをご紹介いたします。
全国の殺処分数
昨年度2021年、保健所で殺処分された犬や猫の数は2万3000匹で過去最少となりました。(犬は4000匹、猫は1万9000匹)
保健所や愛護センターに飼い主に持ち込まれたり、所有者不明で保管された犬猫の数は7万2000匹で、半数以上の4万匹が自治体やボランティア団体が開催する譲渡会などで新しい飼い主をみつけ、引き取られています。
当社Needoumは収益の一部をこのような「殺処分をゼロ」にするための活動に寄付することを目的にした会社です。
このような現状をさらに多くの人に周知し、こうしている今現在も動物愛護センターや動物愛護団体には多くの保護猫たちが飼い主を待っていることを皆様にお伝えできれば幸いです。
保護猫・保護犬とは?

おうちがなく飼い主がいない、もしくは劣悪な環境にいた犬猫たちがレスキューされて、自治体や民間の動物保護施設、個人宅などで一時的に保護されて生活している犬猫たちのことです。保護されたいきさつは、迷子や飼育放棄、災害などで居場所を失った成犬・成猫をはじめ、ブリーダー崩壊、人が望まない繁殖で生まれてきた子犬・子猫などもいます。迷子の場合は、飼い主に捜し出され、もとのおうちに戻れる犬や猫もいますが、飼い主がみつからない場合は、保護施設などで新しい飼い主を待つことになります。保健所や愛護センターで保管される犬猫には「保管期限」が設けられ、期限までに飼い主が見つからなかった犬猫が殺処分されているのです。
外の猫が直面する厳しい環境
人々にとって最も身近な動物であると共に、その愛らしい姿からペットとしても人気の高い猫。
しかし、近年では人間の身勝手な事情により無責任に野に放たれた「野良猫」を発端とした、様々な問題が発生しています。
殺処分対象となる猫の多くはまだ離乳もしていない幼齢個体であることが分かっており、野良猫が生み落とした個体だと考えられています。
食べ物はなく、寝る場所もない。それでも生きていくために必死でゴミを漁ることを覚え、時には花壇でトイレをして、ガレージで眠るしかないのです。交通事故や悪い人に虐待される危険にも常にさらされています。
「飼い猫が外に捨てられたら、生き残れるのはほんの一部です」

・寒さのストレス
本州でも冬になると、朝晩はぐっと冷え込み0度近くになることもあります。家猫は、床暖房やホットカーペットの上でぬくぬくしているかもしれません。外の子は、自販機の下や車のエンジン付近に入り込んで、暖をとっているのです。車を運転しようとしたら、車のエンジン部分に猫がいたなどの事故があるのもこのような理由からです。
・暑さのストレス
寒いのもストレスですが、暑いと熱中症になることもあります。家猫は、エアコンをつけて、快適にしてもらっています。でも野良猫は、日向に避難したり風の通しのいいところで、涼むぐらいしかできないのです。また水分確保できる保証もなく活動している猫も多いため身体的な負担が大きいのがわかります。
・雨のストレス
屋根があれば、雨がかからずにすみますが、野良猫は、狭い軒下などに行かないと、雨に濡れることもあります。雨が降ると体温が低下して免疫力が下がるのはもちろん、冬などの寒い時期は、余計にストレスで病気にかかりやすいそうです。
・食事のストレス
家猫は、毎日、美味しそうなキャットフードを用意してもらえます。
それに引き換え、野良猫は、今日の食事にありつけるかどうかもわからないのです。地域の人は、キャットフードをくれる人もいますが、その人が何かの都合で来ない日もあるのです。
このような経験をしているので、飼い猫になってからも少しずつ分けて食べることができず、出された量を一気に食べ消化不良を起こして下痢や嘔吐を起こしてしまう子も少なくありません。
・寝床のストレス
家猫は、ふかふかのベッドや飼い主と同じ布団で寝ていたりします。野良猫は、もちろん布団などなく、雨風のかからない軒下などで寝ます。だれが来るかわからず警戒したまま過ごしているので家猫のように安心したりなかなか熟睡することもできません。子猫を連れている母猫はなおさらです。
・不妊去勢手術をしていない子は、 喧嘩や交配から伝染病に
去勢手術をしていない雄猫は、テリトリーを気にします。そのため、自分のテリトリーに入ってきた猫と、喧嘩をすることになるのです。そうなると、当然、噛まれたり、ひっかかれたりするわけです。それで、FIV(いわゆる猫エイズ)FeLV(猫白血病ウイルス感染症)などの猫同士の伝染病にかかります。雌猫で不妊手術をしていないと、発情期には交配して、FIVやFeLVに感染します。
・猫嫌いの人
世の中には、猫が嫌いの人、そして猫に虐待をする人もいます。そのような人に追い払われたり、いたずらされたりするかもしれないのです。人に作り出された野良猫なのに、人から危害を加えられる悲しい現実があります。
・交通事故
野良猫などは、移動する際に道を横断するため事故に遭う確率が高いです。
いまや家猫は十年以上生きる子がほとんどで、ご長寿の子は、二十年以上生きる子もいます。その一方、野良猫のほとんどが2、3年しか生き延びることができない子が多く存在します。
近隣トラブルの原因にも

一見自由にのびのびと生きている野良猫の姿は、猫が好きな人にとっては大きな癒しを与えてくれます。
しかし一方で、こうした野良猫による被害に悩まされている人々がいるのも事実です。
夜中の鳴き声、住居周辺にまき散らされる糞尿、車や住居を傷つけるなどの被害は、以前から問題視されています。
これに加え、近年では人間による野良猫への「餌やり問題」についても指摘されています。
無秩序に餌やりを続けることによって、残餌から悪臭や害虫が発生したり、カラスやハトが増加したり、他地域からの野良猫流入やそれによる繁殖などを招く可能性があります。
これらの被害は周辺の生活環境のバランスを崩すだけでなく、自然環境の汚染を引き起こす可能性もあります。
誰もが猫が好きなわけではないため猫が苦手な近隣住民とのトラブルもあとが絶えません。
最近ニュースでよく目にする「多頭飼育崩壊」とは?
また、「多頭飼育崩壊」も野良猫問題の拡大に大きな影響を及ぼしています。
多頭飼育崩壊とは、文字通り猫などの動物を多頭飼いした飼い主が、無秩序な飼い方によってペットの異常繁殖を繰り返した結果、飼育不可能となる現象のことです。
一般的に、犬猫などを買う場合は早い段階で避妊・去勢手術を行い異常繁殖のリスクを防ぎますが、稀に「ペットが可哀想」「手術費用が無い」などの理由から手術を行わない飼い主がいます。
しかし猫は人間とは異なり、一度の出産で4~8頭出産する繁殖力の強い動物です。
飼い主がそのことを把握せずに多頭飼育を行った場合、過剰繁殖によって大量の猫が劣悪な環境で過ごすことになります。
そして飼い切れなくなり捨てられた野良猫たちが、前述したような様々な問題の発端となってしまうのです。
おうちのない犬猫たちの保護・収容施設とその役割
飼い主のいない犬や猫、やむを得ない事情で飼えなくなった犬や猫は、自治体が運営する保健所や動物愛護センター、民間の動物愛護団体などに引き取られます。主な施設とその役割について知っておきましょう。
保健所
保健所は、全国の自治体に約500カ所※2あり、人が健康に暮らすための支援が主となる機関です。犬猫に関しては、自治体によって異なり、下記の3タイプがあります。
①動物の収容施設がなく、犬猫の引き取りを行っていない
②簡易な収容施設があり、動物愛護センターなどの保管施設に移されるまで一時的に収容
③動物保管施設や殺処分機能を持ち、犬猫の引き取りから、譲渡まで実施
①②は、地域の動物愛護センターなどの動物保管施設が引き取りを実施。
③は、主に動物愛護センターがない地域に存在します。
動物愛護相談センター
動物愛護センターは、全国に約80カ所ある犬や猫を引き取る保護収容設備を持つ施設です。名称は動物指導センター、動物保護管理センターなどと自治体によって異なりますが、動物との正しい関わり方や飼育方法を学習する場にもなっています。ここでは、犬や猫を引き取り、健康管理やお世話、収容動物の情報発信や、新しい飼い主を募集する譲渡会などを実施。殺処分機能もありますが極力減らし、返還や譲渡できる命を増やしています。収容数に限りがあるため、収容期間を設けているところもありますが、譲渡適性がある犬や猫は延長するところが増えています。
動物愛護団体
飼い主のいない動物を引き取り、新しい飼い主への譲渡は、民間の動物愛護団体でも行われています。保護した犬や猫は、動物愛護団体の保護動物収容施設であるシェルターや、ボランティア家庭などに預けて飼育。動物愛護団体によっては、環境や人に慣らす社会化やしつけなど、譲渡に適合するようなトレーニングなども行われます。譲渡に向けた保護動物の情報の発信や、新しい飼い主と保護している動物たちとの縁を繋ぐ譲渡会の実施。飼育相談やマッチング、譲渡後のアフターフォローなども行われています。
どこで保護猫と出会うの?
おすすめは動物愛護センターや動物愛護団体で保護されている猫たちです。まずは、自分が住む地域の動物愛護センターや動物愛護団体のサイトをチェックしてみましょう。そこには、飼い主を募集している譲渡候補の猫たちの情報が写真入りで掲載されています。
他には動物病院でポスターが掲載されていたり里親募集サイトを調べるのも一つの方法です。
どんな猫たちがいるのか「調べる」アクションを始め、実際に保護猫と会える譲渡会などの情報もあわせてチェックしておくことが重要です。
どんな猫に出会えるの?
保護猫には、子猫から成猫、高齢猫までおり、活発で遊び好き、のんびり屋さん、シャイなどタイプも多彩です。
子猫は誰から見てもかわいく、見ているだけで癒されますが、エネルギーをたっぷり持って遊びの欲求が強いわりに、健康状態が安定していないため、じっくりと猫と向き合う時間を持てる家庭向きです。共働きなどで留守が多い場合は、成猫が飼いやすいでしょう。活発な猫は、遊んでくれる家族が多い家庭向き。シャイな猫は心を開くまで時間がかかりますので、大人だけで静かに過ごせる家庭の方が安心です。また、「抱っこしたい」「いっしょに遊びたい」「あっさりした子がいい」などの、迎えたい猫への要望によっても合う猫は変わってきます。
譲渡会に参加したら、家族構成や生活時間などの家庭環境や、希望する猫について詳しく伝えておきましょう。保護猫には日本猫や洋猫、雑種も純血種もいます。健康で丈夫な猫を求めるのなら、トラ柄などのオーソドックスな毛色の日本猫の雑種が良いでしょう。これから長い期間いっしょに暮らすことを考え、ルックスだけで決めず、家庭環境やライフスタイルに合った猫をマッチングしてもらいましょう。
譲渡会で実際に触れ合う
一時はコロナウイルスの影響により直接猫や犬と会うことができる「譲渡会」の開催が難しくなっていましたが、最近では少しずつ開催されている傾向にあります。譲渡会はお見合いと一緒ですのでマナーを守って参加しましょう。
触らせてもらう時や遊ばせたい時は、スタッフに許可を得てからにしてくださいね。
猫の譲渡会では、猫の飼育環境を確認するのがポイントです。猫には目に見えない感染症やストレスで発症する病気もあります。そんな病気を予防する意味でも一頭ずつのテリトリーが確保されているところだと安心です。本来猫は単独行動する動物です。親子や兄弟の猫と違い、知らない猫同士で同じケージに入れられていると、トラブルの原因になることがあります。管理状態によっては健康状態が悪くなる場合があるので、耳や目の周りの炎症や毛艶なども見ておきましょう。気になるところがあったら、スタッフに病歴や治療歴なども確認しておくと安心です。
各ボランティア団体の譲渡会の開催日時は団体のHPやブログでも確認できますが「ペットのおうち」で一覧で確認できることができます!
ネットで里親募集を探す
ネットの里親募集サイトで調べる際のおすすめサイトをご紹介します。中には会員登録が必須なサイトもありますのでご注意下さい。

動物病院のポスターで出会う
通りがかりに目にした方も多いのではないでしょうか?一部の動物病院では個人や団体が保護した犬や猫、また病院が保護した犬猫の里親募集情報を掲載している場合があります。
これも何かの縁だと思って思い切って問い合わせをしてみるのもおすすめです。
里親申し込みまでの流れ

保護猫の譲渡の流れは、動物愛護センターや愛護団体によって内容が多少異なります。保護施設で譲渡適性が認められた犬や猫は、新しい飼い主の募集をします。その情報はホームページなどに掲載され、譲渡会などで対面。そこで希望する犬や猫がいた場合、譲渡の申し込みをしますが、希望者のライフスタイルと動物の性格や気質とのマッチングや、飼育環境などの調査があり、そこで断られる場合もあります。審査をパスすると、犬や猫を適正に飼うための講習会に参加後、正式譲渡となり、犬や猫をうちの子として迎えることができます。
しかし「犬や猫がほしい」と希望すれば、誰でも譲渡してもらえるわけではありません。譲渡を受けるには、動物がその家庭でちゃんと飼育され、ずっと安心して暮らせる環境かどうかが重要なポイントです。譲渡を受けられる基準をクリアした希望者が対象になります。審査内容は団体によって異なりますので今回は環境省のパンフレット「譲渡でつなごう!命のバトン」の内容から抜粋した条件の一例を紹介します。
実際は自治体や動物愛護団体ごとに、それぞれ条件や譲渡方法、希望者の年齢や在宅時間、家族構成、同居動物の状況など細かな条件を設けているところもあります。また、自治体が運営する動物愛護センターや保健所からの譲渡の場合は、その地域の住民限定や地域住民が優先的に譲渡を受けられる場合もあります。
譲渡を受ける条件の一例
□ ペットが飼える住宅環境である
□ そのペットに適した飼育スペースが確保されている
□ ペットを飼うための経済力が十分ある
□ その動物を飼うことを家族全員が賛成している
□ 動物に対するアレルギーを持つ家族がいない
□ その動物の世話ができる健康状態と体力がある
□ 病気の予防や治療を行い、介護が必要になった時も世話ができる
□ 不妊・去勢手術を行い、繁殖をさせない
□ マイクロチップや迷子札など、所有者の明示を行う
□ 単身者や高齢者の場合は、動物の世話をする後見人がいる
犬の場合
□ 畜犬登録をし、毎年狂犬病の予防接種をし、タグを首輪に装着する
□ 毎日の散歩などの世話や必要なしつけを行うことができる
猫の場合
□ 完全室内飼いができる
避妊去勢手術の重要性
現在、保護猫ボランティア団体や保健所から引き取る際には「避妊去勢手術」を必須で行っていることが大半です。手術ときくと「かわいそう…」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、発情期に入った猫は泣き声ヤマーキングが増え、発情することが猫のストレスにもなります。またホルモン分泌の影響で乳腺腫瘍にある可能性もあるため、飼育する場合は猫のためにも周辺環境のためにも、避妊・去勢手術を行うことが推奨されているのです。
迎える前に「トライアル」

動物愛護団体などでは、正式譲渡の前に実際に猫を迎えて生活をするトライアルを行います。トライアルは飼い主・猫どちらにとっても末永くいい生活を送るためにとても重要な期間です。
先住ペットとの相性を確認する
中にはすでにほかにもペットを飼っている方もいらっしゃると思います。特に先住ペットがいる場合は、ペット同士の相性を確かめるためにもトライアルはとても重要です。先住猫がいる場合は、その猫よりもおとなしい猫を。活発な猫だと先住猫にストレスがかかり過ぎることがあるからです。同性同士も不妊・去勢済みであれば、大丈夫な例が多いですね。マッチングの時に、先住動物の種類や年齢、キャラクターなどをしっかり伝えておきましょう。
ただし、マッチングしてもらった猫であっても、動物同士の相性は、ひとつ屋根の下で生活してみないとわかりません。最初は、威嚇し合っていても、数日経つと仲良く遊びだす場合もあるし、問題がなさそうでも、どちらかがストレスで体調を崩す場合もあります。トライアルは、飼い主にとっても、譲渡猫の性格や 習性を理解するための大切な時間。何か気になる点があれば、動物愛護団体のスタッフに遠慮なく相談しましょう。その家での生活に向かないことがわかれば返すことになりますが、問題がなければいよいよ正式譲渡の契約になります。
次回のブログでは実際に猫を迎える際に必要な準備や用品を特集しようと思っていますので下記のコラムも是非合わせて読んでみてくださいね!

